ネット時代の書籍は骨董品

本屋大賞が話題も十数年で書店は3割減、書店員たちの思い

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ネット中毒のスマホ奴隷の現代人にとって
書籍は嗜好品としての骨董品となりつつあるのではないか。
新聞、雑誌、書籍等刊行物の商業的受難は
土光臨調の答申に基づき、行政改革が本格化した
中曽根内閣の時代から始まっている。
当時の行革を象徴するのは、国鉄電電公社の民営化だが
行政ベースでは事務費削減に向けて、職員の定数削減が始まり
そして、交際費、購読費、広告費を3Kと呼んで敵視し
これらへの購入費・購読費等の削減による徹底排除も始まった。
つまり発刊物の不買運動で、これが事務管理の常識であるかのように拡大した。
この結果、「公務に必要な専門図書、法律書すらも購入が赦されない」といった
行政職員の嘆きも聞かれたほどだ。
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新撰組局長の近藤勇は、幼少時には祖父の膝に抱かれ
三国志」を読み聞かされて育ったという。
三国志」は、現代の自衛隊でも推奨本に指定されているとのこと。
その三国志のヒーローである諸葛亮孔明
「二言目には典籍、典籍と過去の遺物に縋るのは腐れ儒者の戯言」と
赤壁大戦を仕掛けてきた曹操軍に怯えて
不戦敗の降伏を主張する呉の文官たちとの舌戦で言い放った。
「書を捨てよ。街に出よう」(寺山修司)の作品もある。
机上の空論よりも現実を、との教訓は理解できるが
芥川賞芥川龍之介は、生涯で1,000冊以上を読破し
それによって世界を理解した結果、数々の名作を生み出したという。
五輪の書」を遺した剣豪・宮本武蔵は、学もなく荒くれ者だった若き日に
無鉄砲に参戦して敗北した関ヶ原合戦の残党狩りによって
姫路城天守閣に幽閉された。
その三年間に、様々な和漢の典籍を読むことで人の生きる道を悟った。
そうした歴史的ヒーローを育んだ古今東西の叡智が
今やネットで手軽に入手出来る時代であれば
悲しいかな、新聞はトイレットペーパー、雑誌はチラシ、書籍は骨董品
豪華本は美術品といった価値観でしかなくなっていくのではないか。