官僚組織の取扱いマニュアル

稲田氏への不満背景か=「陸自がリーク」の見方も-日報問題

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ある自衛隊総監部の広報担当と雑談した。
折しも統一地方選の告示が迫った時期のことである。
選挙情勢に話題が及んだとき、広報担当者が言った。

「我々が欲しているのは、各地の選挙情勢です」

これは何を意味するか。
つまり、自衛官投票権を持つ有権者である。
自身の家族票を含めるだけでも、かなりの票数で
官庁と同じく、強力な集票マシーンの機能を有していることを意味する。
その自衛隊が「殺人マシーン」などとバカ丸出しの暴言で
存在を否定する反日バカ勢力を支持するわけがない。
ある省の課長職のデスクには
直近の選挙結果を県ごとにまとめた一覧表がある。
与党が敗北した県と、勝利した県では
補助金地方交付税に差が生じる。
また、ゆりかごから墓場まで、全てに権限を持つ地方自治体では
その権限に裏付けられた集票マシーンとして巧妙に機能する。
何しろ、地方選においては議会運営が左右され
国政選挙においては、交付金補助金等に影響するのであるから
公務員の政治活動は禁じられているとはいえ
きれい事は言っていられない。
露骨ではない形で、巧みな働きかけが行われる。
           ◇
ただし、組織として行動する官庁も自衛隊
特性として、個人の責任を組織に埋没させて
個人批判を避けたがるのが共通点である。
このため、すべては上層部の決裁を得てからでなければ
安易に実行に移さないのが習性である。
その最終的決裁権は、国政であれば大臣、ひいては首相。
自治体では首長、議会であり、これらが安全弁となる。
したがって、問題発生後に
これら最終責任者が責任逃れをしてしまったのでは
安全弁が失われ、批判は組織全体に及ぶことになる。
場合によっては、犯人探しが始まり
誰かが首をくくらねばならなくなる。
           ◇
こうなると、組織を挙げての造反が始まる。
自分たちを守ってくれないトップを
守る筋合いもないという心理である。
そして、より頼もしいトップに代えてもらおうと
頼りないトップを追放すべく
マスコミ、野党などへの情報リークも始まる。
逆に、体を張って組織を守るトップは、とことん守るべく団結する。
自衛隊にしろ官庁にしろ、そのトップとして君臨する場合
そうした組織人の特性を心得ていなければ勤まらない。
官僚組織は、味方にすればこれほど強いものはないが
敵に回せば、これほど恐ろしい敵もいない。