新日鉄の新時代到来か

神鋼、「線材」でもデータ改ざん=主力の鉄鋼製品に問題波及

www.jiji.com

創立100年を越える老舗のコベルコは、いよいよ市場から退場する時を迎えそうだ。
自動車も船舶も航空機も鉄道車両も、何から何まで…。
人を運ぶ乗り物にインチキ行為とは
人命というものを考えていない企業なのか、と思っていたら
ボルトやナットなどの鋼材までも。
こうした部品は、民間投資のビルや住宅のみならず
公共投資で建設される公共事業でも使用される。
公共工事では、道路、橋梁、ダム、治水施設、港湾、公共建築施設など
不特定多数の人々が、日常生活や経済活動で使用したり
災害対策として、人々の生命、財産の安全を確保するものではないか。
公共投資はまた、政府の景気対策であるアベノミクス第二の矢として
内需拡大の目的も含まれ、この恩恵で建設産業は業績がバブル期以上に回復し
その分、需要過剰のために深刻な人員不足となり、人件費が高騰した結果
建設業従業者の給与所得は、銀行員を越えたと言われる。
そうした建設現場に、鋼材は欠かせないのであるから
鉄鋼資材業界にも、景気対策効果は十分に波及していた筈である。
              ◇
かつての円高不況時は、「三種の神器」の普及で人々の暮らしが多様化し
経済構造は重厚長大産業から、多品種少量生産軽工業中心へと変化した。
このため鉄鋼産業は構造不況業種となり、鉄冷えに陥った。
しかし、プラザ合意に伴う政府の内需拡大政策による大型公共投資で持ち直した。
バブル崩壊後も、政府は3%のシーリングで、予算は削減しつつも
公共投資を景気の下支えとして、死に物狂いで投資を続けた。
しかし、後にはインチキ学者の公共事業批判に売国マスコミが飛びつき
インチキ報道に惑わされた世論も批判に傾いた結果
人気取りを狙った小泉政権の構造改悪で、予算削減率は3割にも達し
野党であった旧民主党の前原党首でさえ、「敵ながら天晴れ」などと称賛した。
ここで再び鉄鋼産業は、日本経済ともども鉄冷えに陥った。
その後、米リーマンショックの悪弊が世界中で顕在化し、G8の緊急会議を経て
麻生政権が公共投資の回復に乗りだしたことで
ようやく回復の兆候が見え始めたのたが
その矢先に総選挙での自民大敗旧民主党への政権交代により
景気回復の最後の目も潰され、日本国民の希望は完全に絶たれたのである。
              ◇
こうした苦難の道を辿りながらも、ようやく安倍政権のアベノミクス
鉄鋼のみならず企業全体の内部留保総額は
2016年度の211兆円から311兆円にまで増加し、未曾有の回復を遂げた。
にも関わらず、庶民や中小企業が景気回復を実感できないのは
これら大手企業がアベノミクスを食い逃げしているからに他ならない。
それだけでも、景気回復を願う政府に対する重大な背信行為であるが
官民を挙げて利用する鉄鋼製品のインチキ行為となれば
もはや鋼材メーカーとしての企業生命を自ら絶ったと同然で
データ改竄以降の、全ての製品や構造物の作り直しや賠償となれば
その負担は途方もなく、一企業で補償できるものではあるまい。
顧客の信用を失い、資本家からも見離され、株価は暴落し
製品市場はもとより資本市場からの退場も余儀なくされるだろう。
コベルコ100年の信用と実績は、瞬時にして水泡に帰し
「次の100年に向けた歩み」は、失われるだろう。
同業他社の株価に注目である。