世界は経済成長、個人は格差拡大

世界経済の成長見通し引き上げ トランプ減税の効果で

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世界の富の82%、1%の富裕層に集中 国際NGO試算

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経済は成長しても(上)格差は拡大(下)
この二つの記事が意味するものは、日本の現状そのものである。
企業経済は成長しても、個人に恩恵がないのは
世界的に共通の傾向かもしれない。
富の偏在の原因は、企業や資産家への優遇政策にある。
政策的恩恵を受ける、持てる者は富める一方で
政策の埒外に置かれる持たざる者は、じり貧の一途。
圧倒的に多くの者が貧しい状況で、成長などと呼べるのだろうか。
           ◇
何も私有財産を認めない社会主義
完全平等をユートピアとする共産主義を目指す必要はない。
資本主義原理は維持しつつも、過度な富の偏在を解消すべく
国富を再分配する修正資本主義の徹底が必要だ。
日本がバブル期に、猫も杓子もそこそこに裕福で
極端な貧困とは無縁でいられたのは
そうした再分配政策が、行政主導で強力に行われた結果である。
近年は競争入札に対する談合や、行政による忖度が批判の的となるが
国益を一部の関係者で独占する談合や
私利私欲のための忖度が批判されるべきなのであって
国益の再配分と利害調整のための談合と忖度は
むしろ格差是正のためには必要不可欠である。
           ◇
ところが、バブル崩壊後に談合の摘発が相次ぎ
行政官による忖度と収賄の発覚が続いたことから
企業社会は談合を廃止し、執行権をもつ行政は
責任追及を回避すべく自己保身に走り
予算執行後のアフターケアから逃げ回る事態に陥っている。
個人も企業も、突き詰めれば利己主義の塊であるから
自由放任主義に逃げてしまえば、格差は拡大する一方である。
政治とは利害調整機能であり、行政とは公平な所得再分配機能である。
その基本から逸れてしまった結果が
上記二つの記事の表す今日の現実だろう。