短気な奴らは「水戸黄門」を歌え

<男逮捕>追い越され「頭に来た」 鉄パイプで相手の車壊す

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最近、ドライバーのトラブルが注目されている。
YouTubeでは以前から、世界中でのトラブルが撮影された
ドライブレコーダーの画像が数多く公開されてきた。
凄惨な人身事故や、チンケな当たり屋、ドライバー同士の罵声、つかみ合いなど
種類は様々で、ダッシュボードからの映像は臨場感が高い。
中には、鉄パイプで向かってきた相手に、銃をつきつけて制圧するという
国柄を反映したものもある。
世代も千差万別で、いいトシをした年配のオッサン同士の取っ組み合いもある。
           ◇
片道300㎞を越える遠距離の日帰り出張を、何度もこなしてきた自分は
トラブルに巻き込まれたことは一度もないが
長距離走となると、とかく気ぜわしく先が急がれるため
時間を気にしながら走る者には、地方都市でのんびり走る地元民の車は
通行妨害のように感じる。
しかし、地元民は地元だけの用向きで移動しているのであるから
いくつもの市町村を越えていかねばならない我々のような
先を急ぐ長距離ランナーと違って、急ぐ必要がないのである。
また、直線コースの少ない曲がりくねった峠道では
重量級の大型トラックはスピードを出せないので
追い越し車線がなければデッドロックである。
           ◇
かつて出張からの帰途、夜間に凍結した真冬の峠道を走った。
運悪く、前後を大型ダンプに挟まれた。
追突事故が起きて挟まれれば、サンドイッチである。
こちらはクルマもろとも、自分もスクラップとなり、命はない。
何とか抜け出そうと、前方トラックを追い越そうとタイミングを伺うが
曲がりくねった道路線形に、制御の効きづらい凍結路面と対向車。
視界はライトに頼るだけの悪条件で、脱出のチャンスがない。
そうしているうちに、前方トラックがこちらの意図に気づいてか
左に寄ってウィンカーを右に出した。
通常は「今がチャンスだ。先に行け」の合図と解釈されるので
思い切って、アクセル全開で対向車線に出た。
その瞬間、後方トラックからけたたましいクラクション。
咄嗟に元のポジションに戻ったその直後に、対向車が駆け抜けていった。
危うく正面衝突で、昇天するところであった。
前方トラックは、何を意図していたのだろう。
未必の故意か意図的かは量りかねるが、悪意を感じた。
           ◇
それ以来、マイペースを決め込むことにした。
空いている場合は急ぎ、追い越しできないデッドロックでは
水戸黄門のテーマを歌うことにしたのである。

「人生~楽ありゃ、苦もあるさ~
  挫けりゃ誰かが先に行く~」♪

これを歌うことで、極楽とんぼの気分となり
焦りも感じず、ノロノロ運転にも気長に付き合えるようになった。
みな目的や事情は様々で、急ぐ者もいれば、のんびり余裕のある者もいる。
急がぬ者は急ぐ者に譲り、急ぐ者は謙虚に感謝して通してもらう。
そうして互いにマイペースに徹して割り切れば
つまらぬ競争心や対抗心、敵愾心などは起こらないはずである。