投資効果なき忖度、投資効果ある忖度

山口県知事、「特別な配慮」の依頼否定 忖度発言問題で

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毎年、8月になると、各省庁から財務省へ予算要求(概算要求)が行われる。
基本的に、各省庁の要求通りの満額査定となることはまずない。
国債赤字を削減したい財務省は、すべての項目の予算削減に取りかかる。
財務省職員は、年末の予算発表までは泊まりがけで査定作業に着手する。
その査定結果が発表されてからが勝負所となる。
各省庁の要求した予算原案は、省益ばかりを反映しているのではなく
全国自治体の陳情、請願、全国期生会や関連団体の要望を受け
それを反映して編成したものである。
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陳情に当たっては、自治体担当レベルだけの少数精鋭で当たる場合もあれば
自治体首長以下三役、議会議長、副議長、議会関連委員会委員長
関連業界団体役員、関連団体役員などの大陳情団が結成されることもある。
これを指して「大名行列の参勤交代」と揶揄する言葉もあるが
東京、横浜など不交付団体ならいざ知らず、ほぼ全ての地方は自主財源が不足し
地方交付税補助金に依存しているのであるから
地域振興のためにも真剣そのもので、予算計上は地域の死活問題がかかっている。
それだけに、省庁担当者も必死である。
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このため、各省庁は減額に抵抗し
省庁ごとに担当が決められている財務省担当官との復活折衝に臨む。
もとより、一度や二度の折衝で妥結することはない。
最初は課長級同士の折衝から始まり、徐々に階級を上げ
次官折衝まで行ってもなお妥結しない場合は、いよいよ大臣折衝となる。
それでも妥結を見ない場合に、政治的、政策的な判断に基づいて
裁定を下すのが官邸である。
政治は利害調整機能であり、行政は所得再分配機能である。
問題は政治的忖度によって、投資効果のない地方、分野に予算が配分され
公金が無駄に浪費されることだろう。
よって注目すべきは「忖度」そのものではなく、投資効果にこそあるのだ。